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高齢化に伴う痛みの緩和は質のいい生活を送る上で絶対必要

日本は世界一高齢化社会と言われるようになりました。女性も男性も平均寿命は毎年更新しています。ペインクリニック外来に来られる患者様も、80歳代の方が多数おられますが、皆さん、とても若く、80歳代に見えない方も多数です。しかし、医療が発達し、内臓の病気は治療されても、首からお尻までの背骨=脊椎は徐々に変形し、骨と骨の間のクッション=椎間板も傷んできます。それは、長年、使ってきた機械がいつまでも新品ではないことと同じです。よく使う場所は擦り切れて、錆びたり変形したりして故障の原因となります。人間の身体も一緒です。長生きできる幸せを手に入れた一方で、身体のあちこちが痛くて動けなくなってしまったら、長生きしている意味がありませんよね。痛みほどつらいものはありません。しかし、痛みほど他人にわかってもらえないものもありません。

ペインクリニックは痛みの治療を専門にするところです。内科や外科、産婦人科や泌尿器科、皮膚科、脳外科・・・これらはだれもが知っていますが、ペインクリニック科という診療科は病院の中でみることはめったになく、知らない方も多数です。しかし、内科や外科と同じように、ペイン=痛みを専門に治療する診療科なのです。

どんな痛みも診療しますが、外来で多いのは脊椎疾患です。簡単に言えば、腰や背中、首などの背骨に関わる痛みです。年を取ると、背骨は変形し、背骨の隙間から出てくる神経が傷つくと、上肢や下肢、首や背中、腰に強い痛みを起こします。高齢になると、背骨の変形も強いため、手術も不可能なことが多いです。機械のように、悪くなった部品を交換できれば話が早いですが、人間の身体はそうもいきません。そんな時、非常に役に立つのがペインクリニックです。

ペインクリニックでは、神経ブロック治療というお注射で神経の傷を治す治療を行います。手術が不可能な場合でも、注射ならできます。かなり状態が悪い方でも、注射をしているうちに、少しずつ改善することが多いです。完全に治らなくても、3分の1、あるいは半分にでもなれば、ずいぶん生活もしやすくなるのではないでしょうか。これからの時代は、ペインクリニックが必須です。長生きして楽しい人生を送るには、痛みを取るしかありません。

皆さん、積極的にペインクリニックを受診してみましょう!

院長 松永 美佳子