2023年01月20日
高齢になると、背骨の骨が折れることがよくあります。尻もちや転倒することで背骨の骨がつぶれることが多いのですが、自然に起こってしまうこともあります。なんだか腰が痛いと思って、病院に行ってみると、圧迫骨折と診断されることが多いのです。背骨は首と胸と腰の3つに分類されます。頚椎、胸椎、腰椎と言います。頚椎は7個、胸椎は12個、腰椎は5個の丸い骨からなります。転倒してよく起こるのが、胸椎、腰椎の圧迫骨折です。手や足の骨のような棒状ではない背骨は丸い骨がつぶれて厚みがなくなったことを骨折と言います。
骨折すると、手や足の骨が折れた時のようにとても痛いです。ちょっと動いても激痛が走ったりします。トイレに行くことも困難になります。このため、救急車を呼んで病院に駆け込むことが多いのですが、不思議なことに、そんなに痛がっているのに、痛みどめを渡されるだけで、そのまま家に帰されることが非常に多いです。 トイレも行けないほど痛いのに、救急車を呼ぶほど痛いのにどうしてでしょう?
それは、病院にとって収益にはつながらないためです。病院では、手術すると儲かります。ところが、圧迫骨折はほとんどが手術の適応はなく、じっとじっと安静にすることが治療となります。よって、病院にとってはあまり好ましくない患者さんになるのです。「家でじっと寝てなさい」と言われますが、寝ているのも大変です。なんたって、寝返りもできないほど痛かったり、起き上がることも激痛が来るんですから・・・。
病院で医師から、「骨折はない、リハビリしなさい」と言われていたが、実は折れていたということも多々あります。単純レントゲンでは、わからない骨折もあり、MRIを撮って詳しく検査する必要があります。そうして痛い痛い日々をがまんしているうちに、少しずつ骨が固まり(骨折が治る)また動けるようになることが多いです。
しかし、つぶれた骨が元の大きさに戻ることはありませんので、変形した背骨のまま生活していると、あちらこちらに負担がかかり、慢性的な背中や腰の痛みを生じることになります。
一部の方は、動いているうちに骨が固まらず、ひびの入ったところがずれてしまったり、さらにつぶれたりして悪化することもあります。背骨の背部には、脊髄という人間の最も重要な神経が走っており、そこから、たくさんの神経が出て、胴回りや腰、足に伸びて行きます。その脊髄や足に行く神経に折れた骨があたると、それこそ激痛で動けなくなったり、足が麻痺して完全に寝たきり状態になったりします。とても怖い状態です。そうなってからでは、いくら安静にしても間に合いません。一生が寝た切りの生活となります。 痛みも伴えば耐えられないですね・・・。
圧迫骨折は完治まで3カ月かかります。手や足の骨も同様です。 子供以外は、若くても年寄りでも骨が治るスピードは一緒です。
数年前、私はレストランですべって膝のお皿(骨)を骨折しました。 目から火花が出るほど痛かったです。膝の中に出血もして、膝はパンパンに腫れて毎日自分で100ml近く血を抜きました。その骨折が完治するのに、やはり3か月かかりました。ギプスをして仕事をすにるのは本当に大変でした。がまんの限界のころ、やっと足を着くことができて治りました。ですので、患者さんにも「骨折完治には3か月かかります」・・と、よくお話しますが、3か月がまんするのは大変です。
千里ペインクリニックに併設する「アマニカス」には、よく圧迫骨折の方が入居されます。千里ペインクリニックの外来に来られたら骨折していたことがわかり、そのままアマニカスに入居される方もいます。アマニカスでは介護スタッフがいつも傍にいて、排泄や食事、身体の清拭、着替えなどお世話をさせていただきます。そして、1階のペインクリニック外来で、専門的な神経ブロック治療を行い、積極的に痛みをとる治療をします。
痛みが取れたからと言って動けるわけではありませんが、なるべく痛みのない日々を送れるに越したことはありません。痛みが少なくなると、精神的にも元気になり、食欲も出ます。また、寝たままでも関節が硬縮しないようにリハビリを毎日行います。
骨折が治る頃になると、計画的に加重をかけていって立ったり歩いたりする訓練もします。3か月間と言うと長いように思いますが、こじらせてよけい長引くより「急がば回れ」だと思います。圧迫骨折でお困りの方、圧迫骨折とは言われていないが、いつまで経っても腰や背中の痛みが取れないでお困りの方、ぜひ、一度千里ペインクリニックにお気軽にご相談ください。
あなたの痛みを一緒に考えて行きます。
院長 松永美佳子
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